ITで後れを取った分、得意な産業で倍返し
海外DXソリューションを利用すべき理由
アメリカと中国に続く、世界3番目(2023年2月時点)の GDP を誇る日本は、海外の DX ソリューションに頼らなければならない理由は文化、経済と競争の3点になるかと思います。
文化
日本は「石橋を叩いて渡る」ということわざを、完膚なきまでに実行している民族性を持っています。結果として、日本製品の品質は世界中から信頼を受けており、「Made In Japan」というだけで、製品の経済価値を上げられるほどのブランディングを持つようになりました。
特に故障してはならない、クリティカルなパフォーマンスが追及される業界では、日本とドイツに並ぶ、世界で最も信頼されている国と言っても過言ではありません。しかし、ITやインターネットの業界では「石橋を作りながら渡る」、その過程上で色々壊れてたとしても、前に進むことをやめずに、「橋」を直しながら建てていきます。
トライ&エラー を素早く実行していくの事は、イノベーションの本質であり、スタートアップが新しい製品や事業を生み出していく唯一の方法ですが、産業向けソリューションを提供するスタートアップにとって、日本ほど難しい市場はないかと思います。
デジタル化が進む現在、日本の産業を支えている自動車、ケミカル、半導体、素材などの業界が、様々な新事業開拓、既存業務改善の需要があります。しかし、日本文化が石橋を叩いて渡るであるように、各企業の購買担当もうまた同じように動きます。
「実績がなければ採用されない」という現実がある中、いくら政府や社会が「イノベーション促進」と連呼しても、リスクを極端に嫌う社風には敵いません。良い技術を持っていると企業(クライアント)が認めたとしても、「実績が無いんだぞ?」「問題が出たら責任を取れるのか?」という恐怖から、業務や購買担当はこういったイノベーションを採用する事から退きます。
汎用性が高い製品やサービスは、中小企業から少しずつ実績を上げていき、後々大企業に取り付くことも考えられますが、業界特定のバーティカルなソリューションに関しては、どうしてもある程度規模がある企業でないと難しい。例えば、ケミカル工場管理のDX、製薬会社に使われるサービス、生産ラインで使われる故障予知技術といったソリューションに対して、需要がある中小企業かなり少ないというのが現実かと思います。
スタートアップ企業は、製品の改善、実績の蓄積(収入)及び資金調達を繰り返しながら成長していくのですが、企業に採用されなければ、収入も得られません。収入がなければ、資金調達は出来ません。資金調達ができなければ、製品の改善も得られず、結局シリーズAやそれ以前でゲームオーバーになってしまいます。
日本がその遅れを取ったのは明らかであり、今から巻き返すのはかなりの覚悟とリソースの投入が必要ですし、「石橋を叩いて渡る」文化がなくとも、スタートアップがシリーズBまでに成長するのは、早くても3-5年かかります。そうしている内に、日本企業の競争力は徐々に落ちていく可能性があります。
経済
日本経済は1960年代から1990年まで凄まじい成長を遂げていました。創業者であるDanの故郷である台湾でも、80年代にたくさんの人たちが日本語を学んでいました。アニメ、漫画やゲームによる影響ではなく、日本と豊かな国で仕事し、「現在よりも良い生活をしたい」という強烈な欲望によるものです。
「失うものは何もない」というのは大げさですが、このモチベーションを持つ人達は、発展途上国の方が多いように思えます。終身雇用などといった安心できる企業方針もなく、明日も保証されないような生活を繰り返している人たちにとって、「リスクを取らない事こそが本当のリスク」と思う人の一部は、より豊かな国で仕事したり、自分で起業したりします。
それが顕著なのは中国。90年代は多くの中国人が海外留学や移住し、2010年以後では海外留まらずに、中国の経済発展を見て帰った者もいます。特に過去10年で様々は中国スタートアップやインターネット企業の創業者は、多くの海外経験を持っています。アメリカは世界一の大国でありながら、たくさんの外国人が働いています。
アメリカンドリームを追いかけているものもあれば、単純に今よりも良い生活を送りたいという願望を持つ者もいるかと思います。アメリカのNational Foundation for American Policyのデータによれば、米国のユニコーン企業(パリエーション10億ドル以上のスタートアップ)のうち、約64%が移民または移民の子供たちによって共同設立されました。約80%の創業者またはCEOやCTO/技術VPなどの主要なリーダーシップ役割を担う移民が関与しています。
英語が世界で広く使われていることも、アメリカに有能な人材が集まりやすいようになっています。日本は残念ながら、基本日本語が出来ないとB2Bのビジネスが出来ない上、世界でももっとも難しい言語とされているため、外国人がサバイバルし辛い環境となっています。
アメリカや中国に比べ、日本市場はそこまで大きくないが、優秀な人材は沢山います。しかし、日本での生活はそう悪くない事から、「より良い生活をしたい」という欲望は「起業して失敗したらどうしよう?」に負けてしまいます。また、先ほど説明した「文化」によって、日本のB2Bスタートアップ数量は中々増えません。
競争
ガラパゴスと言われながらも、日本には世界に誇る企業を沢山持っています。しかし、業界によっては、その競争力は少しずつ色褪せているように見えます。特に電気自動車の勢いは燃料自動車に対する衝撃は大きい。世界で燃料自動車市場シェアが大きければ大きいほど、そのインパクトを受けています。
中国製の電気自動車は現在世界シェアの7割前後占めており(中国製造のテスラを含む)、その勢いは暫く続くと予想されている事から、トヨタ、日産、本田といったメーカーが今まで以上の速度でイノベーションを起こさなければなりません。
中国に限らず、アメリカやドイツといった国々も積極的にDXを取り組んでおり、日本企業が後れを取られないためにも、DXを加速すべきですが、彼等と違って、日本には産業DXのソリューションを育つ土壌がありません。もちろん今まで通りに、日本の大手SIerに委託して、新規開発を頼む方法もありますが、既にFortune500に採用されているソリューションに比べると、コスパは恐らく悪いし、導入するまでに時間がかなりかかります。
日本企業はあんまりスピードを重視していない模様ですが、グローバル市場はスピードがかなり大事です。DXは企業社内及び社外、様々な所で改善できるため、スピードアップをしてもリスクが増えません。特にコピーできない技術はない、特許も万能ではない事から、企業にとって一番大事なのはリードをし続ける競争力だと思います。
DXアクセルで紹介するソリューションは日本産業の役立てられるものを選んでおり、導入検討は時間がかかるものの、せめて海外ではこういうソリューションが使われているという情報を、皆様に伝えられれば幸いです。
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